疲労感は大切な警告。

人間は平等に死を迎えるのですが、その時期の引き延ばしと

苦痛・苦悩の軽減は可能で、食事・睡眠・生活習慣の次に大切な

疲労への対処が現代の日本人には特に欠けていることが

過労死に繋がっており、英語の学術用語には『過労死』が

karousiと表記されているほど日本人特有の病気です。 

私は病気後一年程して初めて軽い口唇ヘルペスを発症したので、

自覚後に休養と睡眠を増やし治しましたが免疫力低下が原因です。

人間の身体に備わっている三つの生体アラームは①痛み

②発熱③疲労感ですが、このアラームに敏感に対応することが

健康寿命に深く影響しており、どれも対応が遅れると

重篤な病気や死に繋がる大切な生命維持装置です。 

人間の身体で日々行わていれる細胞分裂の老廃物は

肝臓による代謝活動で処理しているのですが、その時に

炎症性サイトカインという物質を放出しており、それが大量に

脳に届くと疲労感として認識される大事な警告です。 

それは疲労によって身体の免疫力が下がり病気になるからで、

疲労感で休養を促がすためのアラームなのですが

日本人特有の気合や根性という頑張りで、この肝臓からの

警告を無視し休養を取らないことが過労死に繋がっています。 

現代社会は過剰なストレスに曝されているうえに

際限のない資本主義的な欲望の時代で、栄養ドリンクなどで

対応する人も増加していますが、栄養ドリンクは抗酸化物質に

効き肝臓の機能を上げて炎症性サイトカインを抑制するので

脳の疲労感覚は減少していますが、疲労した各臓器における

細胞分裂による新しい蛋白質の製造は減少しているので

自覚のない危険が増しています。 

筋肉痛などは自覚できますが各臓器は炎症性サイトカイン

による脳の疲労感自覚が警告ですので、警告を無視すると

疲労した臓器の蛋白質合成にブレーキがかかり

細胞死のカウントダウンが始まります。 

細胞が死滅し始めると次に細胞の自己破壊が始まり、

その細胞破壊現象が心臓で起こると心筋梗塞を起こし、

脳で起こると脳卒中を起こして死に至る過労死を迎えます。 

しかし『休め』というサインに従うとブレーキがかかった

蛋白質の合成が再開され未然に防げるのですが、

肉体的な疲労で一番先に影響が出る場所が腸で、

精神的疲労は脳ですのでお腹や頭が痛いとか、普段と違う

体調異変は警告と意識しておくと良いと思います。 

疲労と疲労感の自覚にはギャップがあるので過信は禁物で、

人間は欲望の塊りみたいなものですので充実感や

達成感を味わっている時は、ドーパミン作用によって

疲労感自体が軽減され自覚できなくなります。 

最近はこのズレを自律神経で計測する機器ができており、

長距離運転手に採用している企業結果では本人の感覚と

ズレがある人も多いそうで、約三割の人が疲労しているのに

疲労感を感じていないそうです。 

疲労には精神的なものと肉体的なものがありますが、

精神的なストレスは肉体的なストレスより取れづらく長期化するので、少し軽い運動をしてから休息・睡眠を心掛けた方が早く回復できます。 私がトライアスロンを始めた時の一番の効用がこれで、

ランニングで少しキツイ練習をすると精神的な不安や苦悩が

和らぎ、短い睡眠時間でも非常に深く眠れて疲れが取れました。 翌朝の早朝練習も目標を持って行い、店が暇な時間は娘に

付き合って始めた英語の勉強で借財返済不安を埋めていたので、

逆に忙しい時は有り難い気持ちで仕事も精力的にできました。 

この頃は毎月高額な借財返済に追われており、

前半十五日間の売上が借財返済と生活費で、

後半の十五日間の売上が取引先への支払いに当てていましたが、

返済や支払いに困って車も売ったり妻の貯蓄を借りたりの

繰り返しで、貯蓄などない自転車操業の毎日が二十年以上

続いても健康に過ごせたのは、疲労と不安の処理が偶然でしたが

上手く行ったからだと思います。 

ホステスのようにお客さんを待つだけの商いですので

考えると不安になる毎日でしたが、確定申告のときは

税務署の係長が毎年見てくれたのですが、内容を見るたびに

『眠れますか?』と聞くほどの綱渡りだったのです。 

毎日たっぷり汗をかくほど走っていると

『どうせ抵当に入っているのだから、駄目なら渡せばいい』

という開き直りができ、折角の人生『くよくよ考えても

解決しないのだから、毎日を楽しく愉快に仲良く暮そう』と

考えられたからぐっすり眠れたのだと思います。 

どんなに金銭的に大変なときでも食費と家族の楽しみだけは

削らずに過ごしたのも、精神的な満足の方が健康には大切と思って

いたからです。 

多少の抑鬱症状は誰の日常生活にはつきものですが、

これに喜びの消失と疲労感が重なり続くとストレス反応が

増幅され鬱病を発症しますので、この鬱病二大素因を

避けるべく愉快に楽しく疲労を溜めない生活を意識的に

心掛けることが大切です。 

疲労回復には運動や音楽などの好きなことで

リフレッシュする事と豚肉などに含まれるビタミンB1

多く摂取して睡眠時間を増やすことです。 

現代は実際の疲労と疲労感のギャップを自覚する暇がないほど

忙しいストレス社会になっていますが、疲労の最新研究で

ヘルペスウイルスが人間より早く疲労を感知していることが

判ってきました。 

人間は約四十種類のウイルスと共生しているのですが、

帯状疱疹や口唇ヘルペスを引き起こすヘルペスウイルスは、

寄生している人間が疲労して免疫力が落ちると発症しますが、

それは寄生している人間の免疫力が落ちると、

共生できなくなる我が身の危険を察知して他の元気な人間に

移ろうとする生存戦略なのだそうです。 

つまり人間本人より寄生している人間の疲労度を良く理解している

のがヘルペスウイルスで、ウイルス学者の間では

『最も頭の悪いウイルスが、最も頭の良いウイルス学者より賢い』

と言っているそうです。 

最新研究ではヘルペス六型ウイルスが鬱病を誘発・促進している

ことも判ってきており、このウイルスは口から嗅覚へ感染し

前頭葉の不安を増幅しているそうです。 

匂いを感じる部分は薄皮一枚で前頭葉と接しているので、

喜びの消失と疲労感が重なり続くと嗅覚へ感染した

ウイルスが脳のストレス反応を増幅するので鬱病が

発症し易くなるのだそうで、このヘルペス六型ウイルスを

抑制することが鬱病治療の画期的な新薬になりそうとのことです。 

人間の悩みとは失敗だけでなく成功しても新たな悩みが

生まれるものですので、精神的・肉体的疲労との付き合いは

生きている間の避けられない宿命みたいなものです。 

私共のお客様は高齢者が多いのですが、九十歳以上の方と

接していて感じる共通点は、偉ぶらず素直で物事にこだわらず

何事ものんびりと取り組み自立している人が多いことです。 

現代人の疲労原因になっている一番のものは、

社会システムへの対応と邪悪なものへの対応に追われている

ことではないか? という気が私はしています。 

現代は全てが責任者を問えない形でシステム化されており、

そのシステムに人間が使われているような状況の中で

生産性を求められる疲労と、資本主義的な利害関係の中に

潜む邪悪な作為(人の失敗や不幸を望んでいる、まるで呪いを

かけ続けているような人達の増加)との戦いによる疲労の毎日です。 

どちらも精神的なストレスを伴うものですので回復には

時間を要しますが、仕事への義務感に追われ喜びが伴わないと

疲労は蓄積されますので発病のリスクは当然高まります。 

『肝心(腎)要』という言葉がありますが、肝臓・腎臓・心臓は大切な

臓器で弱ると様々な慢性病や難病に繋がるからです。

特に肝臓は生きている間行われる新陳代謝の老廃物を

処理し続けて休みなく働いている臓器で、絶えず負荷が

かかっているからアルコールなどの休肝日を推奨しているのです。

要(かなめ)とは腰という意味ですので、人間の上体と下体を

繋ぐ要になっている大事な所という意味です。

人間の健康とは身体の新陳代謝を高めることで、

疲労とは新陳代謝を低下させる反対現象のことです。

長寿研究ではサーチュイン遺伝子が新陳代謝を高めることが

判っていますが、この蛋白質は老化した細胞のDNAを修復し

細胞を若々しくしてくれるので長寿遺伝子とも呼ばれており、

百歳以上の人を調べた結果ではこのサーチュイン遺伝子が

一般の人より多くて活発だそうです。 

この遺伝子はカロリー制限をすると活性化されるのですが

絶えず空腹感が伴う辛いもので、ザクロの実に多く含まれている

ことも判っています。

私自身はもう充分に生きたと満足しているので、美味しいものを

食べて日々を愉快に楽しく生きるがモットーで過ごしており、

『死は生きる辛さからの解放であり社会奉仕』とも

思っているので長く生きることより食事と嗜好品と音楽を

楽しみ程々で死を迎えたいと思っています。

長寿のサーチュイン遺伝子には全く興味がありませんが、 

  ギランバレー症候群で寝たきりの生活七ヵ月と

  リハビリ四ヶ月の病気の原因を振り返ると、年末二十八日に

  私には珍しく『今日はプールに行きたくないな!』という

  疲労感の自覚を無視してルーティンの水泳に行った反省です。

  日々老化は進み免疫力は確実に落ちているのに、

  意識だけは昔のままでバタフライを中心に張り切り過ぎた

  罰がその五日後当たったようなものでした。

  スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式の祝辞で

  述べた『一番大切なことは、あなたの心の直感に従うことです。

  それはあなたの心の直感は、あなたが本当に何者になりたいか

  を何故か知っているからです。』という言葉は全てに通じています。

  何となくやりたくない、何となくやりたい、何となく嫌い・好き

  この直感こそが自分の本当の心の叫びなのだと思います。

  人生における進路の選択も、日常行動の選択においても

  自分の心の直感に従い選択することは勇気が要ることですが、

  この何となくという直感こそが人生の意義に通じています。

  私自身は『やらなかった後悔』より『やってしまった後悔』の方が

  自分の人生を豊かにしていると馬齢を重ねて実感していますが、

  まず美味しいもので栄養をとり、極力嫌な奴に逢わないようにして

  ストレスを軽減し熟睡できるようにし、怠けず体を動かしてから

  睡眠時間を充分とることが自分のためだけでなく、

  愛する大切な人を守り負担をかけないことに繋がっています。

   年末や正月の忙しさの中で、身体の一大事に備えて

    疲労感の大切さを皆様にお知らせしたいと思った次第です。

  無事の一年に感謝して来年も皆様が愉快で楽しい一年である

  ことを心より祈念しております。