核家族化の社会的コスト。

日本の社会は所得格差だけでなく偏差値のような知的格差も進行し、その結果として核家族化した家庭内の文化的なものも多様化・密室化が進み、その結果として相互理解が難しくなった子供達が増えてしまった気がします。

人間はそれぞれの育った文化と尺度で社会や人を判断する傾向がありますが、違った考え方を容認したり受け入れたりできるようになる為の知的肺活量の減少もイジメや暴力に繋がっています。

厳しさが伴った愛を受け取ることで、優しさと柔軟な強さが身に付きますが、立木の横で守ると書いて『親』という字になるように、口や手をなるべく出さずにジッーと見守り、求められた時に今まで見守って来た内容を勘案し判断して助言すると、子供は親のその愛の深さを実感する中で一段と成長して行くと思います。

そのように育てている大人の減少が、密室化した核家族の中で更に進行している現状を思うと未来に危機感を覚えます。

自立できない人が働いても生活保護以下の収入の放置と、そのような人達への社会の偏見が続くと、抑圧された感情の爆発は連鎖のように続きます。 

障害者や高齢者の保護のように家庭ができない事を、国が援助をしてそんな若者達に社会との繋がりの糸口を作ってあげて、自立へ導くことが必要な時期に来ています。 

自立・自活出来ない成人の子供を家庭で支える余裕が無いほどに可処分所得の減少で疲弊している家庭もあり、年金暮らしの親に依存している成人も沢山います。 

若者の『意欲の貧困』を批判する前に、今の状況を認識し国が企業にも協力を求め、自立までの手助けの姿勢を示すだけでも、社会からの負け犬扱いの抑圧を薄め暴発の危険を減少させます。 

家庭内教育が崩壊し、努力や忍耐の仕方や手本も知らずに社会に大人として放り出され、生活が自立できなければ卑屈になり自尊心が傷ついた状態になりますが、そんな人達も背伸びをした大人のふりの抑圧を重ねても必ず限界が来ます。 

抑圧されたマグマは自分の信頼した人や好きな人に裏切られた、と感じた時に暴発します。 

親殺しや好きな人を殺す人ほど、その人と繋がりたい感情が強く『可愛さ余って憎さ百倍』の結果と思います。 

日本や米国より早く近親者殺害増加を経験した階級社会イギリスは専門家が分析した結果を踏まえ、若者の自立支援が社会の安全コストや税収増で還元されると判断し実行しています。 

人間は物の豊かさに翻弄されますが、心の豊かさが生きる力で、貧しさより辛いことは、社会や家庭と繋がれずに孤立することですが、日本は核家族化の進行と共にで家族の絆も弱くなったように思います。