情報化と知性の危機。

手軽で便利なインターネットがスマホという携帯電話でも繋がるようになり、いずれは自宅のあらゆる電化製品とも連動する時代になるのでしょうが、その便利さを逆手に悪用した犯罪の増加(詐欺・ウイルス・嫌がらせ)による弊害も多くなっています。

自動車が発明されてから、その移動手段としての便利さから誰もが持つ時代になっておりますが、その間の運転罰則規制は飲酒運転・速度制限・駐車禁止・危険運転・携帯電話の使用禁止など社会状況の変化に合わせて多くの法整備が行われて来ました。

車もそうですが便利なものは諸刃の剣で、インターネットやスマホのように匿名で他者を誹謗中傷したり、子供達の世界でもラインを使ったイジメや出会い系サイトなど手軽に犯罪者と係わってしまう危険が増えていますので、もう車社会のルールのようにネット社会においても罰則規定による法整備が法治国家として機能させる為に必要になって来ていると思います。

それに伴い中国のようなネット監視の警察官の数も膨大に必要になり、税負担になりますが犯罪抑止と治安維持の為には必須で、科学技術による環境変化に伴う犯罪の形態変化への対応が急務です。

ネットの進歩は密室から個人が誰でも情報を武器に誰かを攻撃できる時代になったので、陰湿な愉快犯や犯罪者を罰則による法整備で抑止しないと、被害者と加害者の増加を止める事が出来ません。

暴力による攻撃は法整備されていますが、ネット使用による犯罪行為はまだ整備されていないので、イジメ・ストーカー等も今は傷害事件になるまで野放し状態の過渡期と思います。

鬱病などの精神疾患の激増が、文明が進歩して便利になった先進国に多くみられることは偶然ではなく、科学技術の進歩で何事も匿名化され、全ての邪悪な行為が陰湿化している事も関連しています。

情報化社会の恐ろしい所はグーグルなど検索エンジン会社があらゆる情報を掌握するだけでなく、その会社の規定(特定言語禁止など)が法律のような役目を果す危険性も孕んでいます。

そして便利さの裏に隠されている一番の危機は、便利さの普及をそのまま受け入れる事が習慣化されているうちに、国民が何事も考えなくなり全体的な知性衰退とエゴの増殖が広がっていることです。

中小企業が減少し多国籍企業のような大企業に淘汰されて行ってる現状を思うと、今の民主主義は形骸化していて実態は資本主義の奴隷になっているような状況で、このままではより格差は広がり世代連鎖し教育機会の不平等もより進行しますので、弱者はより弱者へと奴隷的な労働に貶められる状況に繋がってしまいます。

それなのに投票率が下落し続けている現状を見ていると、日本の国民は権利・義務と共に民主主義をも放棄し始めているようです。

弱者のこの諦めは知性を自分達の利益誘導にのみ働かせている今の強者達にとっては都合が良く、弱者はより弱者に誘導され奴隷に近い格差社会になるまで自覚できない危惧がありますが、その時は手遅れの状況になっていると思います

民主主義を資本主義の奴隷から解放させるには、今の弱者が不満から陰湿な行為や犯罪で暴発するのではなく、知性という武器の獲得を目指し資本主義の弊害とルールを学んで社会という土俵に上がらなければ負け続けますし、弱者は投票行動を通じて陰で癒着している強者を脅かす知的政治選択をする事で、選ぶ国民全体の知性向上がなければ民主主義の形を悪用している今の強者の思う壺です。

最近の傾向として誰もがグローバルな世界への諦めみたいなものからか? 流されて生きているようになり、個人として生きる信念や哲学を磨く知性の役割を信じなくなっている傾向も一因です。

教育機会に恵まれない後進国の子供達は学問への意欲を持ち、整備された先進国の子供達の大多数が意欲を放棄し嫌々勉強している事も、社会のそんな空気を肌で感じ諦めているようにさえ思えます。

学問から得る知識と失敗から学ぶ知恵と謙虚さが個人の生き残りの選択肢を増やし知性の獲得に繋がりますが、その繰り返しが人生を豊かにしそんな人達の増加が国を豊かに発展させて次世代に繋いできたのが人類の歴史で、ただ長生きをして贅沢に暮らすことを望んでいる昨今の風潮を見ていると少子化も必然か? と思います。

人間は武器も核もそうですが、いったん獲得した文明技術はどんなに弊害があっても放棄しない歴史を持っています。

成長ではなく成熟した社会の実現は、隔離・閉鎖された一部の特殊地域では実現していますが、人類の歴史は成長と拡大をいつも目指し文明の発達がその推進役を果たして来たのも事実です。

インターネットも含めて情報化社会はもう後戻りできない程に社会の基幹として浸透していますので、情報化社会においてのルールを作り新しい形の犯罪を抑止するようにしないと、経済と情報を掌握する強者が情報弱者を選別しながらより強者になる為に陰で運用します。(たとえば個人がカードでどんな物を買っているか? 統計を取り、人間性も含めた個人の信用調査を瞬時に行う)

そして国民が民主主義の維持を望むなら、その基礎となる国民の知性向上なしには政治家のレベル向上には繋がらず、国民としての義務と責任を自覚して衆愚政治から脱却する勇気を持たないと、差別に近い格差の世代連鎖がより一層広がって行くだけでなく、権力による支配・統制の時代に逆戻りしてしまう危険も孕んでいます。

諦めから投票を棄権する前に、民主主義維持には政治家を選んだ国民の方にも半分は責任がある自覚が大切ですし、コンピューターのネットワーク進歩は国民に背番号を付けて権力が一元管理できるほどに進化していますので、ネットワーク使用者と管理者双方の罰則を含めたルール作りも必要ですが、それには政治家を選ぶ国民ひとり一人の知性向上なしには権力者の監視も実現しません。

ここで言う知性とは知識の事ではなく、氷山の海の下の部分のような『見えている部分から見えない部分を推測できる』能力のことで、隠された他者の意志みたいなものを読み取る能力の事です。

戦後の混乱を生き抜いてきた年輩の方達の中には、学校にも行けないで字も書けない人達が多くいましたが、その方達の中には生き抜く為の知恵と知性を身に付けている人が沢山おりました。

今日食べる物もない追い詰められ状況の中で必死に生き残ろうとする姿勢の中から生まれた集中力が、甘い罠か? 誠意の伴った好意か? を相手の立場になり必死に考え、その過程で身に付けた一部分だけを見るのではなく総合的に判断する知恵みたいなもので、隠された本音の部分である『他者の意図を読み取る』判断力が本当の知性です。

政財官の癒着は言われてきましたが、最近は報道機関も権力と癒着し始めているような報道姿勢が見られますので本当に危機です。