住宅ローン事情。

ここ大麻では2~3年程前から不動産の動きが活発化し始めましたが、ここでも価格の適正化効果が働いています。

高度成長期の分譲で一区画が100坪単位でしたので、坪単価が高い頃は住宅代金と合わせると簡単には手を出せないローンになるので、売りに出しても角地で2区画に分割して分譲できるような所しか売れませんでした。

バブル期の一番高い頃の取引価格が坪25万円だったと聞いた記憶がありますが、最近の取引価格の底値は坪9万位の所も有ります。

人口減少と景気低迷と地価下落などの需給ギャップ調整が進み、若い人達が共働きで頑張れば100坪のマイホームが何とか手に入れられる所まで来たとは思いますが、しかしそこにも時代を反映した問題も隠れています。

毎晩散歩をして注意していると、新築の家が何年か? 後に暗く空き家になり、その後リフォームが始まって売りの看板が立つものが有ります。

最近は看板など出さずにネットで近所には判らない様に密かに売買をするものも多くあり、気が付いたら隣がいない等は多くの方が経験するようになったようです。

しかしこのような現象を増やしている事情は、購入者の安易な金銭計画もありますが、頭金も用意していないような人達に金融機関が住宅ローンを安易に受け付けることにも要因があるのでは? と推察したくなります。

昔は銀行が住宅ローンを受け付けたら、源泉徴収などや担保力などを含めた返済能力を審査して『この人達の返済は大丈夫』というお墨付きになった時代でした。

しかしバブル崩壊後の景気浮揚策に住宅控除も含めた数々の優遇策を施してきましたが遅々として進まず、金融機関も設備投資などの融資も減少し手数料収入とパート社員の増加で銀行経営を凌いできた事情がありました。

景気浮揚策で一番大きな裾野の広がりを持つのが新規住宅着工の増加ですが、国の景気浮揚策にとっても金融機関の貸し出し増加にとってもメリットがあるのが住宅ローンの融資基準緩和策ではないか? と私は疑っています。

大都会ではローン終了が退職後の70歳という人達もいると聞きますが、その時に収入はあるのでしょうか?

何処の金融機関もローン返済が行き詰った人達の破綻処理を想定した子会社を持っているようで、確実に返済できる人達だけの融資姿勢ではババ抜きの『ババを掴む』ことになるのが実態のような気がします。

何事も全て自己責任の時代になり、返済できないような計画で借りて家を買った方にも責任がある時代になったようです。

時代と共に善悪の基準も変わって行くのですが、そのような変化を的確に把握して自分達の身を守っていくには、社会情勢・経済情勢・世界経済そして自分達の家庭経済情勢を勘案して行動しなければ自分を守れない程に、個人もグローバルな動きに巻き込まれて生きているようになったと思います。

一時世界を揺るがしたアメリカのサブプライムローンのような、景気浮揚策として低所得者にも住宅購入を促す為にローンを証券化して売買しリスクを分散しても破綻したことを忘れたようで、今また日本でも同じようなことが行われているような不気味さを感じておりますが杞憂で終わることを願っております。