欲望と不安。

物への欲望に湧いたバブル後はデフレが続き、人間にとって過剰な欲望よりもっと不健康な不安の増大が蔓延した危険な社会になりました。 

雇用形態の多様化は所得の格差と不安定化を招き、誰もが絶対数の少ない椅子取りゲームに参加させられている社会状況です。

そしてグローバル化は大企業でも簡単に倒産や吸収合併される時代に変わり業績悪化は即リストラで、相対評価で下から切り落とされますので、いつも不安から解放されない情報戦です。  

高度成長のような好景気の時は、家や車等を手に入れれば幸せになれるような錯覚から常に新しい物への欲望で渦巻いていましたが、デフレが続き未来への不安から消費には異常に他人には厳しい自己本位で禁欲的なものになりました。 

少し難しい話になりますが、人間は欲望が叶えられない時は諦めに繋がって終わりですが、不安が解消されない時は被害妄想から情緒不安定になり攻撃的な怒りに繋がり身近な人を傷つけたり・集団でいじめたり・時には自分自身を傷つけたりしてしまう悲しい性が有ります。 

軍国主義時代の指導者の共通点は思想的・哲学的発想の習慣がなく軍事(今はお金)で全て解決できると思う単純さと、自分の主観的判断を客観化・相対化することができない人達だったと何かに書いていました。 

同じように現代の不安な時代を迎えて、白か黒か? で我が身の行く末を情緒的に考えるのではなく、自分の死を念頭に入れて『どう生きるか』を哲学したり、自分の考え方を客観化したりしないと不安から真に逃れられないと私は思います。 

単純な価値判断と他人への不寛容を増大させている今の状況を見ていると、なぜか軍国主義の狂気と重なります。