妻の10倍返し。

結婚四十年を過ぎ女性の人間としての強さを改めて実感させられています。 

先日も『あなたは食べ物も人間も好き嫌いが激しく、その好きな幅が狭いの』と言われ、的を射ていて反論の余地が無く感心して『的確な表現、四十年間こんな私と共にありがとうございます、これからも宜しくお願いします』と皮肉を込めて答えると、『あなたが若い時はずーっと我慢して来た、下手に逆らうと昔は何倍にもなって返ってきた』と過去の十倍返しを始めます。 

でも恋という字は下心で『そんな私を見抜けずに選ぶことを決断したあなたにも半分の責任がある、お互いの思惑はずれを半分は自分の責任と背負って行こうね』と決まり文句で逃れます。 

何か相談すると『小生意気なひねくれ者だから、右と言えば左を選ぶでしょうだから左と言います。 

今思うと、私はまるで孫悟空が如意棒を振り回して三蔵法師の手の平で戦っていたようなものです。 

男がそんなに立派で強いなら、共の人生を一緒にと求めずに一人で生きて行けばいい、一人で生きて行く自信がないから妻を求めたと今は悟りの境地です。 

お互いに自分の視点からものを言っていると喧嘩が絶えないので、男が血気盛んな頃は女性がじっーと我慢して、男が社会や妻から牙も骨も抜かれた状況を迎えた六十過ぎから、女性の十倍返しの反撃は始まりますが、それは男の若気の至りで犯した罪の罪滅ぼしと悟り、極力妻の溜飲が下がるように『すみませんでした』と謝罪と逃走に終始することです。 

しかしある程度の緊張感は大切ですので、先日妻が『お父さんも角が取れて丸くなり、可愛くなったね』と言ったので、立ち上がり少し真面目顔で『角なんか取ってない、角を残したまま大きな丸を作って人間を大きくしたの』と言うと『おおー怖・・油断禁物・火事・親爺』と言いいながら、でも『痛い所があると我慢できないで、すぐ治療にいくのは直らないね』と言われました。

確かに外科医や鍼灸の人達が言うのですが、痛みに対しての耐性に男は圧倒的に弱く、逆に女性は覚悟を決めると腹が座ってジタバタしないそうのです。 

アダムとイブの話ですが、所詮男は女性のあばら骨を一本抜いて神様に作られた子孫を残す道具として添物的に作られた動物なのだと言い聞かせ過ごしています。