メディアリテラシー。

『村上春樹にご用心』を出版した時、内田樹氏が新聞に寄稿した記事にフジテレビの株価が過去七年で二九三万円から二十三万円まで値下がりしテレビの没落を株価が現しているが、メディアはメディアについて報道しないから、いくつかの断片的事実から推して『誰も言及しようとしない情報』を探り当てるメディア・リテラシーと言う情報評価能力が大切、と書いていて溜飲が下がりました。 

CMスポンサーの質の低下と昼の再放送の多用でも窮状は見て取れますが、本質的には有名人の子供をコネで入社させるなどの人材低下による番組内容の劣化自爆と映像文化の多様化です。 

今の視聴者は意味もなくテレビをつけている人と、見たい番組だけ見る人の二種類います。

人は幼少期に触れた画期的な技術革新を羨望した時に、憧れが洗脳に近く脳に刻まれ逃れられないものになります。 

今の大人が憧れたものがテレビや車で、今の若者は携帯やパソコンやゲームへシフトしています。 

限られた収入の中から使うお金は、その人の心の渇きを潤す方向に無意識に向かって消費しているものです。 

成熟した社会では、物ではなく心を埋め満たしてくれる無形のものや、その為の道具を求め始めていますが、ここでもリテラシーを持たないとその道具に振り回されます。 

リテラシーとは『ある分野に関する知識・教養・能力』を意味しますが、複雑に多様化した現代社会においては、多くの曲がり角を間違えないで生きる為のリテラシーが必要な気がします。 

意味もなくつけている人の為の番組ではスポンサーの数も単価も下がり、結果として株価も下がるのは道理で、視聴者が見て心の渇きが潤うような番組を年代別・時間帯別に分析し供給する教養が必要ですが、供給側の知的レベル以上のものを生み出せない悲しさです。

昔の会社の平均寿命は三十年(中小企業も入れて)でしたが、今は二十二年位だそうです。

社会の変化スピードが速まって行くことを思うと、若者と女性の優秀な人材確保が鍵になりそうです。