暑かった今年の夏色も秋色になって来ました。
お客様の中には『今年も残りわずかになり、一年は早いね』と言う方もいますが、この方はその一年を大過なく過ごした幸せな方と思いながら聞いております。
辛く悲しい思いを抱いて過ごしている方にとっての一年はとてつもなく長いのです。
様々な境遇を背負って生きている人達と向き合いながら毎日を過ごしていると、欲望を満たすことよりも大過なく季節を重ねられる当たり前のことに感謝させられます。
そんな話をすると、『小生意気なお父さんも本当に歳を取ったんだね』と女房に笑われます。
何年前か? 忘れましたが、まだ給料も安く奨学金返済などで大変な財政状況時の娘の誕生日に一万五千以内で何か買ってあげるとデパートで言ったら、『自分の給料も考えずに、身分不相応の物が欲しいので困っている』と言うので、『では欲しい物の足しにして』と現金を渡しましたが遠慮して受け取らないので、食事をしながら『若い時は身分不相応の物を欲しがりなさい』と理由を説明しました。
結婚して子供が出来たりして家族への責任を持つ立場になると誰もが経済的・肉体的に自分が我慢することが多くなるけれど、そんな時に独身時代に自分へ身分不相応な物をご褒美としてあげた人は、心の消化不良を起こさず好きな人の為に自然に自己犠牲が出来ると思う。
だから若い時にしか味わえない事を楽しむ為に、自分の働いたお金を自分の為だけに使える期間を存分に満喫しなさいと話しました。
『若い時は貰う喜びだけど、歳を取ると高尚なあげる喜びになる』と言うと受け取りました。
巡る季節と大過なく歳を取った中で知った、私の心の意外な変化に自分で驚いたのを想い出します。
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