咄嗟の時に出る人間性。

今年で店を持ってから三十八年目に入りましたが、その間に沢山の人達の人生を目にして参りました。 

誰でも幼少時代からのものを背負って今の自分があるのですが、時々お客様を見送った後に逃れられない宿命みたいなものを見せつけられ、辛い思いをする事が有ります。

辛い悲しい思いを聞き、今も背負っているそれらに宿命を感じさせられるのは、自分にも原因が有る事に気が付いていないからです。 

咄嗟の時に出るものがその人の人間性で『その方が無意識に発する言葉や行為の中に滲み出る人間性に、優しくしてあげたい気持ちを萎えさせるもの』が無意識に出ている時があります。 

『運』は運ぶと書きますが、幸運は努力して、悪運は無意識にその人の本性が運んでいる部分が半分は有り、その無意識の領域こそが人間性の基盤になっている気がします。 

狼が育てた人間が狼になるように『三つ子の魂百までも』は無意識の領域への潜在的な人格形成を言っていて、人は人に愛され労わられ見守られている事を実感して育つ中で、人を信じる心が無意識の領域に満ちていくように思います。 

人生の数々の節目の困難な時にいい出会いに恵まれたり、努力を越えた運にめぐり遭えない時もあったりしますが、人を信じる人は前を見て凌いで行くうちに誰かの目に止まり幸運を引き寄せます。 

私が父を反面教師に出来たのは、小学校時代0点と十五点の私に対し、悪い点数も隠さない良い子と褒めてくれた母に、生きる力を貰ったと思います。

そのたった一言が中学生になってからの勉学への意欲になったように思います。

この三年間は小学校の復讐と中学校の勉強を毎日五時間位勉強し進学校に受かりましたが、燃え尽き症候群で高校二年生で挫折し短大に進学しました。

その後トヨタで働きだしてから、社会で戦って行く為の知識の必要に迫られ様々な本や新聞を読み漁ったことを想い出します。

長い人生を振り返って思うことは、特別な才能に恵まれるより一番身近な親に愛され認められて育つことが大切なことを実感します。