無形の快感。

先日の新聞記事に『脳は美を如何に感じるか?』と言う本を書いた英国人の講演を聞いた人の記事が出ていました。 

人が美しいと感じたものを見た時に脳のどの部分が反応しているか? 人が絵画を『美しい』と思った時、脳の特定の部分が活動したと言います。 

食物などを得た時と同じ報酬にかかわる部分らしく、美に加えて愛と脳の関係にも触れ、本人が愛を感じる対象を見た時も、脳の決まった場所が反応したそうです。 

さらに面白い事に、その時には攻撃性や判断などにかかわる部分の活動は抑制されたそうです。 

愛されて育った人に攻撃性が少ない事や、楽しい時に何か頼まれると了解してしまい、後で冷静になってから後悔した経験など納得です。 

お金や物などの報酬としての喜びでは、物の場合はそれ以上を望むようになり、そしてその物を保持し続けるコストに疲れストレスを抱えますが、逆に五感で味わう無形の喜びは、それだけで心の滋養になっています。 

自立出来ない人が心の中に抱えている一番大きなものが『親から子供としての愛をまだもらってない』と言う無形の愛への喪失感だそうです。 

親の希望に応えた時だけ認められるのではなく、いつもあるがままの自分が愛されていると言う実感は、毎日の慈愛溢れる生活の中で受け取った美味しい・楽しい・美しいが心の襞に刻まれ沁み込み、人間性としての財産になるのでしょう。 生きる手段の金・物の財産は長いスパンで見れば人間性が伴わないと維持できていません。 

生きている目的の喜びを五感で体感する無形の快感は、心を健康にして免疫力を上昇させて、実は体の健康にも繋がっていると思います。