冬来たりなば春遠からじ。

夏の終わり頃には毎年山から始まる紅葉を富良野旭岳へ出かけて愉しみますが、それは秋の訪れと共にいずれ訪れる冬を受け入れる心の準備に繋げる為です。 

避けようの無い冬に怯えて待つよりも、秋を楽しみながら冬の準備をしていて気が付いたら冬? のように、人生には『先を考えるべき時』と『先を考えてはいけない時』が有ります。

テストのように正解はひとつではなく、状況によって答は違っていて正解はいくつも有ります。 

娘が高校に入った頃から、社会に出たら矛盾だらけの中で生きて行かなければならない『矛盾を理解出来るようになったら本当の大人』と言い続けて来ました。

娘が社会人になってからも『会社の為に働くんじゃない、自分の為に』と言ったと思ったら、『自分の生活を支えている仕事に対しては誠実に』など様々で、『人には思いやりを』と言ったと思ったら『薄情の情けも深い愛情』など、子供の頃から私の発言は状況を考慮に入れなければ矛盾だらけです。 

普段は『自分に正直に本音で生きる』と言っていたのに、辛く厳しい状況の時に楽な道と迷っている様子を見て『本音より建前を大切にして遠道を選ぶ方が近道』と勧めます。 

長い人生、狭い視野の今だけを見ないで、俯瞰的に人生の先まで眺めたうえで今の決断をすべき時と、今の年代や時期にしか楽しめない事などは今を大切にする事も必要です。  矛盾を理解する事は俯瞰的な目を養う事に繋がり、お金の出入りという金銭感覚なども身に付ける事にも繋がっていると思います。 

毎年冬が近づき、冷たい風が吹き始めると妻は『嫌な冬がやってくる』と必ず愚痴を言いますが、その時に私は必ず『お母さん、もうすぐ春だよ』と嫌味を言います。

返事は『このひねくれ者』ですが、古来からの『冬来たりなば春遠うからじ』という名句が残っていますが、これは先人の知恵です。