異端な人。

結婚四十年・店が三十八年目、どちらも破綻を免れた理由に『小生意気な、ひねくれ者』の私を、妻が『好きにしたら』と許容してくれたことが有ると思っています。

原発事故の経緯を見ていて、保安員・東電・解説者など全てが東大系列で原子力行政を仕切っていた異常な態勢で、少しは異端な人の不在が事故を大きくしたのでは? と感じます。 

異端な人が入り込む余地がない組織は平時には効率的でも、硬直化し緊急時には全員で自己保身に走り、対処法も一方向ですので後手に廻って事故処理の回避が遅れるのが常です。 私は原発安全委員会や東電の原発担当者の中に異端な人(多くの人とは別の物の見方をする)が少数でも混ざっていたら? これ程大きな事故にならずに済んだのでは? と思います。 

『異能な人は』異端を好む傾向があり、物の見方も別方向から捉える傾向を持っていて、『それは違うだろう』と多勢を逆撫でするのが常です。

そんな種類の人間を一定数確保しておく組織がリスクヘッジには一番必要です。 

高度成長後、全員が一点に集中して進む均一化体質が政界・財界・官界で進んだ果てが、バブル崩壊から立ち直れない原因にもなっています。 

私は付和雷同できない根っからのひねくれ者で、絶えず人とは反対を選択するので、妻は右へ行かせたい時は左を指示します。 

景気上昇時は異端の人を雇っておく余裕も有り上手く機能していましたが、不況になってからは効率一辺倒で、そんな懐の深い組織や社会を目指す余裕がなくなりました。 

平時に活躍する人と、危機の時に活躍する人の視点の違いを認識して、秀才で頭がいい人と、凡人だけどへそ曲がりで勘の鋭い人が混在する組織は、お互いに化学反応を起こさせる効果も有り、そんな社会の実現が危機を防ぐと私は思います。